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店主が〝もやし〟になるまで(その2)

1995年1月17日、阪神淡路大震災。
何なんやろ、この酷い仕打ちは……


とにかく夢にもがいていた私は、毎日ひとつひとつがヤケクソです。
「つらい」「くやしい」「さみしい」 そんなマイナスなワードしか頭に浮かんできません。父親のボランティアめいた電気復旧工事を手伝い、休みなんて殆どなく、たまに何もない日(というか、動くにも動けない日)は部屋にこもり、いつも目の前にはボロボロのノートとインクが出たり出なかったりするボールペン、そしてギターを抱え、いつしかそのまま眠っている…。


"静電気で目が覚めた 昨日奇妙な夢を見た 僕は床で眠り泣いていた"

"自然は好きになれない 自然はことごとく僕の邪魔をする"

"僕の憧れは果てしなく遠いもので あと数年で地球が終わるって…"

※いずれも1995年発表アルバム『ひとりごと』の収録曲より



とにかく悔しい想いを毎日書きなぐりました。その詩を『うたいことば』に変換することもなく、真っ黒になるほどノートに書きなぐった言葉どおりに適当に歌う。とにかくヤケクソで、毎日何の役に立っているのか分からない父親の仕事を『ココロの病』という言い訳で時にさぼり、そうしてやがて『ひとりごと』という、後にも先にも出てこないような遺書めいたひとつのアルバムを完成させます。
CD じゃないです。この頃はすべてカセットテープです。
ハイポジションやら、メタルテープやら、そんなのどうでもよく、アホみたいに買いあさったノーマルポジションのテープにダビングしまくります。

そして、古いワープロで作った、オール明朝体の歌詞カードと共に大きな茶封筒に入れ、あらゆるレコード会社の住所を、音楽雑誌や既製CDジャケットから調べあげ、ひたすら郵送します。

"会わなきゃいけない人がいるんです"と、一筆添えて……。


今はネット環境さえ整っていれば、何でも簡単に繋がってしまう便利な時代になりましたが(笑)

それにしても、当時の状況でよくレコード会社を見つけることができたなぁーと、相当必死だったその頃の自分に脱帽です。




3月になったある日のこと。
突然かかってきた一本の電話。
「ひらやましんじさんですか? 突然のお電話失礼します。私はヴァージンミュージックジャパンの○○という者です。先日お送りいただいたテープを聞きまして、それでいろいろ気になりまして……… 一度お会いできないですか?」


(/ロ゜)/!!!!


レコード会社に送りつけられた得体の知れない者からのテープなんて、封を開けずにポイっ!てのが当たり前と言われてた時代。ですから、この反応には驚きが隠せず、頭は真っ白です。

実はその後も、とあるオーディション、ソニー、ビクターなど、送ったとこ送ったとこ、立て続けに電話がかかってきます。 
おそらく震災のあった地域ということも重なってか、一際目をひく郵便物だったのかもしれません。

そして、どの会社も、まるで申し合わせたかのように、同じ一言を発します。

「ちょっとあなたが気になるんです」





交通手段がある程度落ち着いた頃、私はそれぞれの会社に出向きます。東京で電車に乗ってた時にはいつも「ひょっとしたら、今、僕が立ってる位置に、憧れの人が立っていたかもしれない」なんて、勝手なストーリーを作り、楽曲提供が叶う瞬間に喜びが隠せず、心臓の動きは不安定になります。


コンタクトをとった会社の中でも、最初にお声をかけていただいたヴァージンレコードの方とは、家まで泊まらせていただいたり、本当に親身になって私を育てようとしてくださいました。きっかけになるかもしれないオーディションの紹介まで。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

慣れない人ごみに押し出されて 午後7時の僕は風の中
この場所に僕が溶け込んでく そんな姿
一番遠い記憶は せつなさに閉じるまぶたの裏側

昨夜から何も口にしてない 眠りかたもなんとなく忘れてた
だけど僕の想像ときたら それとなしにユニークなもので
重い荷物と自分にエールを贈ってる

僕の世界のギネスに取りあげられるかもしれないよ
『夢を"ゲンジツ"と読む男!!』  そんな見出しでね……


至るところに生えてる雑草の中から
今夜 一番栄養価の高いところを寝床にしよう
お月さま どうにかしてよ 毎晩星がきれいなものだから
眠りかたを忘れてしまったよ

くすぐったい空気の音色が風にのってくるよ
ひとりごとを言う季節が始まる合図かな

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 


東京をさまよい、見つけた夜の小さな公園のベンチ。
薄暗い電灯の下、約15分くらいで書き上げた曲『おとさた』

紹介していただいたオーディションで、審査の合格対象となった作品です。




つづく

孤独との闘い 
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